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サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ・・・・

「カリフォルニア・ドールズ」 ロバート・アルドリッチ監督




この映画は中学生の頃、劇場公開時に広島、流川のOS東劇かリッツで見ている。併映が何か忘れたけど確か2本立てで、こちらが目当てではなかったはず。その後吹き替え版だと思うがテレビ放映で再見するまで、最後の決勝戦でドールズが戦う相手がミミ萩原らが扮する日本人レスラーだと思い込んでいたくらいで、中学生当時はおそらく金髪のおねえさんがおっぱいを揺らしながら奮闘するお色気映画程度にしか思っていなかったのかもしれない。その後大学に入ってから、蓮實重彦大先生がアルドリッチを持ち上げていたり、そもそもヌーベルバーグの監督達もベタボメしていると知り、そうかあのお色気映画の監督ってすごいのか・・・と他の監督作も当時はまだたくさんあった名画座や大学の上映会、アテネ・フランセなんかで見て、そうか確かにすごい!とぞっこんになったけど、なぜかこの「カリフォルニア・ドールズ」は劇場で再見する機会がなかった。それを約30年後に再び小さなスクリーン上で見ることができた。

いやあ、大きいなあ、アルドリッチ。巨大。監督本人も実際に巨躯だったらしいけどとにかく大きい。余裕綽々。なんでもあり。金のためなら女を泥まみれにするピーター・フォーク扮するマネージャーも、女の顔に泥を塗られたらだまっちゃいない。その上女に借りた金で賭場で大儲けして、その金でやることもでかい。女も大きいのはおっぱいだけじゃない。勝負の為なら進んで泥を被る。みんな、すべてが大きい。寒々しい曇天下のドサ廻りからネオンギラギラの大舞台へ。いいじゃないか。やっぱり傑作。


この映画を上映中の渋谷のミニシアター、シアターNはこの作品を最後に閉館。あとに別の映画館が入るという話もないらしい。どうもデジタルシネマへの移行という世の流れへの対応に苦慮してのことらしい。100年以上続いたフィルムというメディアからシリコン(?)への移行期のまっただなかにある現在、VPFを始めとする業界全体の新制度はミニシアターには厳しいようだ。ちなみに今回の上映は35mmフィルムによるもの。フィルムのほうがシリコンよりも優れているとは思わないので基本的に移行自体には賛成だけど、フィルムも一つのフォーマットとして残って欲しい。でもゲージュツとはいいつつ、みなさんメシのタネですからね・・・・

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実は、この同じ場所に今の劇場が入る前にあったユーロスペース(現在同じ渋谷の円山町で営業中)でかれこれ20年以上前、学生の頃、3年半ほどアルバイトで映写技師をしてました。当時はまだ1スクリーンで受付の女の子と二人で受付、もぎり、物販もやってました。映写機も長尺のかからないもので、1巻ごとに手動で切り換え。失敗もたくさんしたけど楽しかった。そんな理由もあって、ここで中学生の頃見た「カリフォルニア・ドールズ」を再見し、この作品を最後にあるミニシアターがなくなるというのは個人的にも感慨ひとしお。というか言葉で言い表せないものがあります。
by mobydick67 | 2012-11-28 12:12 | 映画
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