奥秩父を調べる

秩父 山の生活文化
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秩父の民具の調査・分析・論考から始まって、「山国」としての文化を文学、交通、資源、近代化といったことを切り口にして語ることで、「秩父とは何か」ということを探った力作。残念ながら500頁以上のこの大著を一人で執筆された小林茂さんは、本作が発行された2009年10月10日を待たず同年9月2日に亡くなられている。

学術書にありがちな読者の存在を無視したような難解さはない。地道な調査分析に続いて、そこから「秩父らしさ」というエッセンスを抽出していく著者の情熱がひしひしと伝わってくる。

民具のなかでも特に多くの頁が割かれている背負子(秩父では「セータ(背板)」と呼ぶことが多いという)の項には写真、美しい図版も多く飽きさせない。

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また「山岳文学にみる秩父 山の風貌」という秩父の山と文学の関係を書いた章では、小暮理太郎、田部重治、原全教、さらに写真家清水武甲らが描いた奥秩父について語られている。またこれまでその名さえ知らなかった関東木材社長でもあった前田夕暮という歌人も紹介されている。調べてみると大滝村川入の入川沿いにある夕暮れキャンプ場に歌碑があるらしいので今度通ったときに覗いてみようと思う。


話はそれるけど、栃本にある田部重治の歌碑の

 栂の峰 いくつか越えて 栃本の 里へいそぎし 旅を忘れじ

奥秩父の山旅の記憶を詠んだいい歌ですね。
by mobydick67 | 2010-12-23 23:08 | 奥秩父:山歩きと備忘録
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