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変化

2016年9月30日、甲武信小屋に行ってきました。

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西沢渓谷から徳ちゃん新道を登り、テントで一泊して翌朝千曲川源流沿いに毛木平に降りました。
ボッカ以外で、普通の登山道を登って、ただ降りたのは久しぶり。紅葉にはまだ少し早い曇天の山をそれなりに満喫してきました。

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山は逃げないし、いつまでもそこにあるので、焦らず好きなときに歩いて愉しめばいいと思っています。でも人は変わっていきます。亡くなったり去ったり。いつまでも永遠にいるわけではありません。寂しい思いをすることもあります。でも去る人もまた別のところで新しいスタートをきると思えば、背中を押してあげたい、そんなことを想う季節の変わり目です・・・・
# by mobydick67 | 2016-10-02 16:05 | 奥秩父:山歩きと備忘録

夏の音

少し前の遅い梅雨明けの後、午前中時間が空いたので出勤前に上野の国立博物館に寄ってみた。平日の午前中とはいえ夏休みの上野の山は人が多く、国立博物館も古代ギリシャ展目当ての人でごったがえしていたが、そんな人の横をすりぬけて本館の常設日本ギャラリーに向かった。ここは最近でこそ、外国人観光客や刀剣、鎧目当ての歴女たちが訪れるようになったけど、それでもまだまだ空いていて、涼みながらゆっくりするにはもってこいの場所。順路最初のほうの仏像なんかは素通りして、漆や金工、陶、アイヌ、沖縄の装飾品を眺める。展示物は定期的に順次入れ替えられるので、何度来ても飽きることはない。順路最後のほうの近代美術コーナーはあまり好きではないのでいつもは素通りするけど、この時はちょっと珍しいものがあった。

横山大観の富士

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数年前に雑誌かなにかで写真をみたことはあったけど、本物を見るのは初めて。偶然出会ったポップな大観富士。壁際のソファーに腰を下ろして遠目にゆっくり眺める。足を止める人もいなくて、とても贅沢な時間。儲けものでした。


美術館を出て不忍池のほうに降りると、ちょうど蓮の花の見頃。

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蓮の花は蕾が開くときに「ぽんっ」と音がするという。学校も勤務先もこの界隈だったから、こうやってこのあたりをうろうろするようになってはや30年近く経つが、まだその音を聞いたことはない。


蓮の花の音のことを教ええてくれたのはこの本。
芝木好子 「夜の鶴」

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下谷の置屋「鶴の家」に生まれた千賀子は、戦争前夜当時、13歳。私がこの日歩いたのとちょうど逆のルートを、早朝湯島方面から池のほうに蓮の花を見に歩いてくる場面からこの小説は始まる。下谷、湯島天神、東京都美術館、妻恋坂、黒門小学校、お茶の水など馴染みのある場所を舞台に、戦争に向かって暗い影の差し始める下町の花柳界を背景に物語はすすむ。


千賀子が通った黒門小学校は上野広小路の猥雑な一画に今もあり、そのそばの花月のかりんとうが私の密かなお気に入り。駄菓子ではない雑味のない上品なかりんとう。昭和22年創業ということなので件の小説には登場しない。季節によって包装が変わる。今は夏の金魚バージョン。

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かりんとうをポリポリかじってるうちに、今年の夏も無為に過ぎていく・・・・
# by mobydick67 | 2016-08-13 11:14

野川を走る

2月末に上京以来30年住んだ世田谷区から、隣の狛江市に越してきました。いろいろと身軽になり、子供ももう大学生で校区を気にする必要もなくなったし、住んでいたマンションの隣に3年前にコンビニができて騒がしくなったので、少し静かなところに越すことにした。都心に自転車通勤できる範囲で物色して、結局、世田谷区、調布市、狛江市の市区境が交錯するあたりの築40年を超えた古いマンションに決めた。11階建ての10階で、ふた昔前の高層マンションのまあまあの高層階という、これまで住んだことのない高さにも惹かれたけど、なんといってもマンションのすぐ前を野川が流れているのが決め手。

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旧居では自宅から1kmほど走って仙川に出て、川沿いの遊歩道を4kmほど走り、また自宅に戻るというのが朝の定番ランコース。新居ではマンションから出て道路を渡ると野川の両岸に遊歩道が南北に伸びている。またコンクリで固めた川の堤の上のアスファルト敷の遊歩道ではなく、仙川にはなかった川幅の割には広めの川床の草生した踏み跡を走れば、朝露に靴を濡らしながら、途中横切る道路、歩行者や自転車を気にすることなく走り続けることができる。

3月末には遊歩道脇の桜が咲き、川床の菜の花がそれと競うように咲き誇ってた。

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清流から程遠い人造河川だけど、鷺や鴨、鵜が羽を休めてる。でかい鯉もいて、ときどきガキどもがルアーで釣りしてます。写真は撮れなかったけど一度カワセミも見た。

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負荷をかけるために少し寄り道して国分寺断崖をひいひいいいながら登ってたら、こんなのもいました。

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自宅を出てそのまま上流に向かって右岸を走り、帰りは左岸というのが定番コース。これを参考にしてます。

村松昭 散策絵図シリーズ13 野川散策絵図 (村松昭 散策絵図シリーズ)

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広げると3mを超える絵巻、そのうちいつも走るのは地図上で1mほどの区間。

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京王線、甲州街道馬橋をくぐると往路3km、中央自動車道、御塔坂橋で5km、がんばって野川自然公園の二枚橋、西武多摩川線をくぐると10km超というふうに、橋をメルクマールに途中止まることなく何も気にせず走れるのは最高!!以前は二日に一度だった朝ランが回数、距離ともに増えた。

5月になると川床の草丈が高くなり、踏み跡にもかなり生い茂るようになったけど、藪漕ぎラン!といい気になって走ってた。ある日走って家に戻ると、脚が少し赤くなっていたので何かにかぶれたかなと思ったけど、気にせずまた次の日も走りました。数日後、今度は走っていると脚が猛烈に痒くなり、見ると湿疹ができてました。それでも草をかき分けて走っていると今度はくしゃみが止まらなくなり、目も痒みが止まらなくなりました。これらの症状が走っていないときも治まらないので、さすがにおかしいと思ってアレルギー科、皮膚科医院に行って検査してもらうと・・・・当たり!

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イネ科植物の抗体が少し、またこれまでシーズンでも何も感じなかったスギ、ヒノキの抗体も少しありました。ということで、50歳前にして花粉症デビュー。とりあず薬を処方してもらい、川床を走るのはやめて遊歩道で我慢することに・・・。薬は10日ほど服用して、そのあとは川床を走らなければひどい症状はでなくなったけど。

6月になって眼下の川床を恨めしく睨みながら走っていると、草が刈られている区間が少しだけあった。数日後遊歩道と川を隔てる金網にこんな掲示が。

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おお、ありがとうごさいます、調布市様。どんどんお願いします。

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ということで、日に日に刈り終えた区間が拡がるのを見て、再び川床を走れる日を楽しみに待ちながら走る今日此の頃でございます。
# by mobydick67 | 2016-06-18 16:02 | その他

春に開くのは桜の花だけじゃないよ

お願いして、2年ぶりに甲武信小屋の小屋開きに混ぜてもらいました。

2016年4月18日

立川で、ユウツだユーツだといいながらも、満更でもなさそうな小屋番づめりんとごっちゃんと合流、通学通勤で込み合う中央線で塩山へ。駅前ロータリーで笑顔で迎えてくれたワッキーの車に乗せてもらって西沢渓谷。

9:00、みんなで荷を分けて、春というよりも初夏を思わせる陽気のなかTシャツ一枚で歩き始める。

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麓の木々は、うずうずする春の匂いを放ちながら、新芽を膨らませ始めている。

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汗をかきかき軽快に登る。

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近丸新道との分岐を過ぎても雪は出てこない。聞いてはいたけど今年は本当に雪が少ない。雪が出てくるのは2000mあたりから。

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2200メートルを超えてからチェーンアイゼンをつける。空が曇り冷たいみぞれ混じりの小雨が降り始めたので、急いでカッパを着こむ。春山は装備の選択が難しい。奥秩父のゴールデンウィークは、雪が降って一晩で数十センチ積もることもあれば、大雨が降ることもある。この時期甲武信に登っていていつも思い出すのは、15、6年前に同じ道を登ったときのこと。4月初旬の暖かい日に半ズボン、T-シャツで西沢渓谷から登り始めて、最初は良かったがすぐに雪が出てきて、分岐あたりではもうしっかり積もっていたけど、暖かったのでそのまま登るとあっというまに膝下の雪になり、意地はってそのまま歩いているとすぐに膝上、股下と雪は深くなり、縦走路分岐あたりで耐えられなくなって雨具のズボンを履いたけど当時はまだスパッツというものを持っていなかったので、靴はぐじゅぐじゅ、体は冷え冷え、どうにか小屋の冬季小屋に逃げ込んだけど、持っていた寝袋も貧弱で、担いできたテントを小屋のなかに張らせてもらってしのいだ。翌日も天気は良かったが、とても頂上に登る元気などなかったので這々の体で来た道を下った。それ以来、春山にかぎらず装備は多め多め、行動は早め早めというのが山歩きの鉄則と考えるようになった。閑話休題。

いずれにしても今年は雪が少ない。縦走路との分岐あたりでも30cm程度。

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甲武信も遠目には雪が全くついていない。

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13:40、小屋に到着。先日の偵察時よりもさらに減ったとのこと。私もここのところ数年間この時期の小屋を見てるけど、こんなに少なくて土が見えてるなんて初めて。

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テン場もこのとおり、半分くらい雪がなく地面が露出している。

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この日は外は雨で雪も少ないので、小屋の中をざっと片付けて、美味しい鳥つくね鍋をいただいて・・・・酔っぱらいました。すみません。


2016年4月19日

ゆっくり起きて昨日の鍋の残りをうどんにしたものをいただいて、ゆっくりとお仕事開始。まずはワッキーと雪かき。量は少ないけど早くから暖かくなったせいか、溶けたり凍ったりを繰り返した雪には厚い氷の層があって意外に手強い。それでも、無心になってシャベルで雪を崩して放るのは気持ちいいな。

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一段落したら、今度は笛吹川水源の偵察から帰ってきたづめりんを先頭に、水源にポンプ設置を設置するために降りる。今年は秘密兵器のおかげで何度も降りたり登ったりすることなくすんなり水が揚がる。文明万歳!!

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お昼は痺れるような?コクのある越冬カレーをいただいて、そのあとも雪かきと翌日のヘリの荷揚げ、荷降ろしの準備。そこそこできりあげて、旨い酒と肴で宴。奥秩父の未来をめぐって議論が白熱したけど、心地良いギターで口直し(耳直し?)して、お休みなさい。

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2016年4月20日

当初の予定ではもう少し後になるはずだったヘリの荷揚げが、前倒しになってこの日飛ぶことになったので、朝から場所の確保、麓に降ろす荷の準備など粛々と進めて、もういつでもこい!と準備が整ったのが10時過ぎ。上手くいけば昼前に開始と聞いていたけど・・・・なかなか飛んでこない。間延びした長閑な時間が過ぎていく・・・。

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結局予定どおり13:00、麓の栃本からの第一便が轟音を響かせながらやってきた。



づめりんが身振りでヘリを誘導して、小屋裏の狭い場所に荷を降ろす。以前も見たけどなかなかの壮観。ヘリも誘導するほうも危険な作業です。

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今回は合計7便。ヘリが降ろした荷を4人で急いで小屋に運び込むと、一服するかしないかのうちの次の便が来てまた同じことを繰り返す。なかなか堪える作業。帰宅後久々に筋肉痛になりました。



無事7便分荷を下ろしたあと、軽食をいただいでワッキーとふたり西沢渓谷へ急いで下山。とばすワッキーをヒイヒイいいながら追いかけてどうにかこうにか明るいうちに下山。麓近くの唐松林がつい2日前に登ったときより緑を濃くしたように見えたのは気のせいか・・・・

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麓はもう春から初夏へ、もうすぐ山にも春がやってきて、小屋も開いて、お山の一年が始まる。奥秩父で働く人、奥秩父を歩く人にとって、事故のないよい1年になりますように。
# by mobydick67 | 2016-04-24 16:12 | 奥秩父:山歩きと備忘録

春はブルースだ

緩んだり冷えたりしているあいだは、まだ蕾を膨らませていただけなのに
春雷が夜空に響いたり、夏日がきたりするうちにいつのまにか気が早いのが咲いて・・・・

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一つ咲いたと思ったらあっというまに次々と咲き誇りやがって・・・・

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やっぱり春はブルース、憂鬱だ。


先日友人たちのライブに誘われ、久しぶりに生で音楽を聞いた。昨年の今頃は音楽を聞いても耳障りなノイズにしか聞こえなかったけれど、最近やっと音が耳から少し先に届くようになった。心地よい夜。
そのライブの少し前、ライブにも出演した友人とSNS上でFACESの”Glad and Sorry”はいいね、”Ooh La La”のB面は大好きだ、というやりとりしたら、ライブでGlad and Sorryをモチーフにした曲を歌ってくれた。ありがとう。Happy and SadにはGlad and Sorry。

Ooh La laのB面には、もう一つ好きな曲がある。

”If I'm On The Late Side”



If I'm late, darling, don't hesitate
Just go without me and I'll see you there anyway
If I miss you at the station
I want you on that train

I don't want a sad sack
'Cause I'll be there come what may
Leave a message with the porter
Or leave it at the gate
Just let me know that you're aboard her
Just a word to know that you're safe

I walk from Maryland to Silvertown
I hoped to catch you in the street
I must have missed you by a moment, dear
I tried the place we always meet

So if I'm late, darling, don't hesitate
Go on your own some
And I'll catch you there anyway
I might lose some time, babe
But if I do I'll make amends in an hour
When I'm laying down beside you


ロニーとロッドの歌を訳してみるよ。


ダーリン、もしも僕が遅れたら遠慮しなくていい
僕をおいて先に行ってくれよ、どうせそこで会うんだから
駅で会えなくても
君は列車に乗ればいいよ

じたばたするのはいやだな
どうせ僕もそこに行くんだから
ポーターに伝言か
入り口に張り紙を残しておいてくれ
君がそこにいて
無事だとひとこと教えてくれればそれでいいさ

僕はメリーランドからシルバータウンまで歩いたよ
君に会えるかと思って
いつも会っていたところを探してみたけど
きっと入れ違いだったんだな、ベイビー

だからもしも僕が遅れても遠慮はいらない
好きにしていいよ
どっちにしてもそこで君に会うんだから
僕も時には迷うかもしれない、ベイビー
それでも君のそばに横たわって
一時間もすれば償えるよ


最初に聞いた頃、この歌がよくわからなかった。なんだかそっけない歌だなと思っていたけど、最近やっとわかるような気がしてきた。



だから春はブルースなんだよ。
# by mobydick67 | 2016-04-01 00:00 | 雑感