カテゴリ:本( 109 )

涼を求めて

先だって滞在した水戸は朝晩は肌寒いくらいの気温で、昼になって陽が照っても涼しい風が吹き抜ける避暑地のような陽気だったけど・・・・やはり東京は蒸し暑い。

そんな盛夏に暑中見舞い代わりに、京都大学総合博物館が収蔵する標本を紹介した涼しい本をお勧め。

標本の本―京都大学総合博物館の収蔵室から

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一口に標本といっても千差万別、スケッチから骨格標本、剥製に至るまで様々な標本があることを教えてくれる。標本への興味をかきたてる文と写真を厳選した編集がとてもストイックな、美しい本です。


こんな標本収蔵庫に入ってみたいな。

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背筋のあたりが涼しくなる、猫の神経標本なんて写真もあるので、猫好きのひとは是非書店で手にとってみてください。
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by mobydick67 | 2013-07-31 17:26 | | Comments(0)

ぬちどぅたからやさ


意外にコメントが多かった秩父弁シリーズ第二弾!ではありません。


僕の島は戦場だった 封印された沖縄戦の記憶

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佐野慎一が「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史」に続いて、その前史である沖縄戦といつまでも終わることのない「戦後」について、「戦争孤児」「集団自決」「援護法」「米軍基地」をキーワードに探ったルポルタージュ。


タイトルは、集団自決の最中にある母親が、手榴弾を爆発させようとした息子に自決を思いど止まらせようとウチナーグチで叫んだ「死ぬせーいちゃてぃんないさ。生ちかりるーうぇーかや、生ちちゅしゃさ。ぬちどぅたからやさ」(死ぬのはいつだってできる。生きられる間は生きなくてはいけない。命は宝だよ)という言葉から借りました。。

明日、6月23日は沖縄戦の終結した日として沖縄県が制定した「慰霊の日」。
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by mobydick67 | 2013-06-22 15:12 | | Comments(4)

みんなムズムズ・・・(花粉症ではない)

啓蟄もとっくに過ぎ、里は春爛漫、野山の虫、藪歩きのムシもムズムズし始める今日此頃ですが、今年、藪歩きシーズンを前に全国4500人の藪漕ガーを戦慄させているのが重症熱性血小板減少症候群ウイルス(通称 SFTSウイルス)。すでにニュースでも報道されているように、マダニに吸血されることで感染するかなり致死性の高いウイルス。マダニに噛まれない対策としては、長袖、長ズボン、虫よけスプレーなどだそうです。

10年くらい前にアメリカで流行して、あちらのハイカーたちを縮み上がらせた同じマダニが媒介するライム病は、噛まれて数時間のうちにダニを除去すれば感染率がぐっと下がるようだけど、このSFTSウィルスの場合はどうなんでしょうか?ちなみにライム病の病原体は細菌、SFTSウィルスはその名のとおりウィルス。細菌なら抗生物質が効くけど、ウイルスには抗生物質は効かないのでたちが悪い。

敵を知れば恐るに足らず、とも言うのでちょっと勉強してみました。

新しいウイルス入門 (ブルーバックス)

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ウイルスは細胞さえもたない生物未満のイキモノモドキで、ひとりでは増殖さえできないくせに、なぜかしっかり遺伝子だけは持っているので、自分自身も急速に進化しつつ、生物に色々干渉しつつ、共生しつつ、大きな影響を及ぼすとっても変な奴らしい。さらに突然変異をはじめとする生物進化の大きな要因にもなってるようです。とても小さいので目に見えないだけで(あまりに小さいため顕微鏡でも見えない!)、有害無害なものを含めもうあちこちにうじゃうじゃいるらしい。図も多くド素人にも分かりやすいよい本でした。さすがブルーバックス!



ウイルスのことは少しわかったけどやっぱり怖い!と思っていたら・・・・こんな本がありました。

ウイルスは恐くない―新型インフルエンザは食べもので分解できる

ほんとですか???そんなこと言って大丈夫?
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by mobydick67 | 2013-04-06 21:00 | | Comments(0)

阿鼻叫喚

新世紀読書大全 書評1990-2010


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特殊映画評論家 柳下毅一郎が20年間、様々なメディアに書き散らした書評を集めた大著。タイトルと副題 A User's Guide to Pandemonium(阿鼻叫喚のユーザーズガイド) はJ・G・バラードの千年王国ユーザーズガイドをもじったもの。その書名に偽りはなくエロ、グロ、シリアル・キラーなどサブカルからハイカルチャーまで、古今東西の奇書を総ざらえ。これさえあれば当分は読書リストに困りません、というか、取り上げられている未読書を読むのに何年かかるやら・・・・考えただけで鼻血出そうです。

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by mobydick67 | 2013-03-04 18:48 | | Comments(0)

狼男は嘘つき?

ときどきここに読書感想文めいたものを書いているけど、文句なしに面白かったり、目から鱗!みたいな本なら感想も書き易いし、またそうでない本ならわざわざ面白くないと書くまでもないのでほっておけばいいが、そのいずれでもなく、評価の難しい本というのもあって、そういう時は思ったことを書いてみたいけど考えがうまくまとまらないため、取り上げるのを躊躇してしまう。この本もかなり前に読んだけど、評価が難しい一冊。

狼の群れと暮らした男

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内容はズバリ、タイトルどおり。作者の一人ショーン・エリスは田舎で育った幼少の頃から野生動物が好きで、それが高じてイギリス海軍除隊後、アメリカ、アイダホ州の国立公園で一人でオオカミの野生の群れに入って2年も一緒に暮らし、その後その経験を活かして、オオカミの保護、飼育、犬の調教などに携わっている、というお話。


「オオカミと暮らす」と書くのは簡単だけど、実際に檻の中でエリスと野生ではない狼が一緒にいる映像のインパクトはすごい。




で、期待も高まる訳ですが・・・・なぜそもそも野生オオカミの群れに入るなんてことをしようと思ったのか???という読者の疑問に対しては、全体を通して自分自身の孤独な生い立ちとオオカミの群れの生態を重ねることである程度答えているけど、肝心の野生オオカミの群れの中での暮らしについての記述がどうもあいまいで、信憑性に欠けるし、そこからオオカミについてどんな新しい科学的知識が得られたのかということはほとんど書かれていない。せっかく他の誰も真似のできない貴重な体験をしたのに、結果的に単なる奇人伝、自慢話になってしまっているのが残念。狼男の本としては面白いけど、オオカミの本としては物足らない。そのくらいオオカミになりきって、理性を捨てないと狼の群れには迎え入れてもらえないということなのかもしれないが・・・・。ぜひ野生オオカミとの暮らしについて改めてもう一冊書いて欲しい。
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by mobydick67 | 2013-03-01 12:07 | | Comments(0)

進化のまっただ中

東京に雪が積もった頃、風邪をひいた。積もった雪もなかなか解けないし、フラフラなのでそのあいだは電車通勤。電車に乗ってるあいだ、時間を持て余すのでヘロヘロ頭でこんな本を読んだ。

破壊する創造者―ウイルスがヒトを進化させた

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風邪やノロ、インフルエンザ、はたまたHIVなどのウイルスは、単に人間に「寄生」するのではなく、たとえ最初は寄生であっても最終的には人間と「共生」し、その「共生」への過程で人間(そしてウィルス)に生じる変化が進化の要因になっている、というお話のようです。難解な専門用語はとばしつつ読んだけど、説得力のあるなかなか面白い本でした。こうして風邪をひくのもダイナミックな生物進化の一過程だと思うと風邪ウイルスさえなんだか愛おしくなってきます。

それでも一週間ほどすると症状も治まったきたので、正月に秩父の友人がわざわざ持ってきてくれたとっておきの酒を味わったけど・・・

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なぜか2日ほどするとまた鼻水がビービー、頭はズキズキ・・・・
どうやらウイルスに好かれる体質に進化したようです。こうして現在も私の体内で進化が着々と進行中。


Quebrando Tudo ”すべてを破壊せよ”
HERMETO PASCOAL AU VIVO

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by mobydick67 | 2013-01-26 23:41 | | Comments(6)

ちいさな骨、見つけた


10月に奥秩父主脈の信州側、唐松久保沢を歩いたときに動物の骨が落ちていたので拾ってきた。絶妙なカタチ。

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1年半前に歩いたときに大腿骨らしきものを拾った場所の近くだったから同じ個体のものかもしれない。脊椎の一部というところまでは分かるが、頸椎なのか胸椎なのか?鹿のものなのか、イノシシのものなのかもわからない。拾った場所は禁猟区内だが、なぜ死んだかのかもわからない。この脊椎と肋骨って繋がってるのか?
そういうことを観察、考察するのが科学なんだろうけど、やっぱり骨には科学だけでは割り切れない「何か」があるような気がしてこないでもないから面白い。そもそも骨を見て「美しい」あるいは「気持ち悪い」なんて思うのは人間だけだろう。

そんな骨にまつわるいろいろな観点を上手くまとめた本がこれ。

小さな骨の動物園 (INAX booklet)

中学校のホネ部という部活のお話、標本剥製師のお話など他ではなかなか読むことのできない話題が満載。掲載された写真とそのレイアウトがとても美しい。目次だってこんな感じになる。

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数年前にINAXギャラリーで開かれた同名の博物展の図録も兼ねているようだが、その博物展も是非見たかったなあ。


「ちいさな骨」として魚の骨も紹介されてるので、とりあえず今度秋刀魚を食うときには骨をキレイに残すことから始めてみるか・・・
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by mobydick67 | 2012-11-19 22:06 | | Comments(2)

土曜日、小暮理太郎と出会う

2週間ほど前の土曜日。あっぱれな秋晴れ。でも仕事。自転車で出勤。午前中に銀座某所で一仕事終え、午後の仕事まで少し時間があったので、銀座地下街でカレーライスを喰ったあと御茶ノ水へ。喫茶穂高で珈琲。ここはトースト以外にも食べ物出してくれたらいいのに・・・・

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穂高を出て、数軒隣の古本屋の覗いてみた。ここは山岳書のコーナー充実しているので電車通勤のときは帰りによく寄る。おおよそ見慣れた本ばかりが並ぶ棚に、ビニールで包まれた見慣れない本に目が止まった。

山の憶ひ出〈巻1-4〉―木暮理太郎全集 (1948年)

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ずっと前から読んでみたかった本だ。平凡社から出た復刻文庫版でさえすでに絶版で、妙な高値がついていてなんとなく購入しづらかったが、これは4巻揃いでも復刻版上下2巻を古書で買うよりもずっと安かったので迷わず購入。こんな好天の土曜に仕事に出たご褒美。


午後は駿河台のアテネ・フランセ文化センターでお仕事。

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この週は15年ぶりくらいに毎日午後からここでお仕事。懐かしい。アナログとデジタル。レイド・バックな時間とコージーな場所。


夜、家に帰ってゆっくりと小暮理太郎を堪能。一緒に奥秩父を歩きまわった田部重治よりも乾いたシンプルな文体が清々しい。



なんだか思わぬ拾い物をした土曜日。
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by mobydick67 | 2012-10-25 02:56 | | Comments(2)

古書の秋

新宿歌舞伎町交差点地下で開催中の古書浪漫洲。掘り出し物がいろいろ。

暮らしの手帳 1966冬号。ジャケット買い。でも、かっこいいのは表紙だけではない。中身も文章、編集、デザインが恐ろしいぐらい尖がっていて驚いた。

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野坂昭如の珍本ソングブック。1974年出版。新宿で買うのが相応しい本。

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そういえば復刊したCoyote No.47でも野坂昭如が特集されてます。

本はなるべく買わないようにしているのに、新刊はともかく古書を手に取るとなんだか呼ばれているような気がしてついつい買ってしまう。一期一会。

山岳書、雑誌があまりなかったのは残念。今週末まで。
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by mobydick67 | 2012-10-05 14:55 | | Comments(0)

角幡唯介はどこへ行く?

探検家、36歳の憂鬱 角幡唯介

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最近コンパでモテない、というたわいもない話から始めて(昔はモテたの?とツッコみたい・・・)、現代冒険論、西丸震也ばりの現代文明論まで語ってしまう大著。特に富士登山の流行から、現代都市生活における身体性の欠如という「病」を自らの冒険に絡めて語った「富士山登頂記」は圧巻。自虐ネタを披露しながら、しっかり大きなテーマを語りつつ、最後に自分の問題として語ることも忘れない周到さが心憎い。さらにこの本では極地に冒険に行くときに救助という退路を断つために、衛星電話や無線を持たないことのみが真の冒険が成り立つ条件ではないかということもほのめかされていて、そのあたりは服部文祥の先祖返り山行に通じるところもあり、もちろん冒険家や登山家ではない僕たち普通の人が山を歩く時にも考えてみたいテーマの一つかもしれない。

・・・・と興の乗った文章にこちらも乗せられてついつい同感、同感と膝を打ってしまったけど、よく考えてみると身体性の欠如は確かに「病」かもしれないけど、そういう病にかかるようになった原因と、僕たち普通の人が住む場所を選べるようになったり、登山をリクリエーションとして楽しんだり、そのなかのごく一部の人が貴族や金持ちでなくても冒険を楽しめるようになった理由は同じもの(=文明の発達)なわけで、100年前には不可能だった、冒険をする、しない、都会に住む、住まないという選択ができるようになっただけましではないか、という意味でちょっと話をまとめすぎ、詭弁かなとも思えてきた。そのへんが「憂鬱」なんだろうけど・・・・。その点では方法論としては愚鈍かもしれないし、文章もそこまで洗練されてないけど、服部文祥のほうが一歩抜きん出ているのではないかとも思った。

でもとても良い本なので特に若い人には是非読んで欲しいなあと思います。

新著アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極も出るようだし、角幡唯介はこれからどっちに行くのかな?楽しみです。
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by mobydick67 | 2012-09-26 15:54 | | Comments(0)