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帰ってきた桑原甲子雄

実は・・・・最近のなんでもかんでも「昭和の」という枕言葉をつけ、「三丁目の夕日」的にあの「時代」を懐かしむような風潮には「私的」にはちょっと辟易してるんですが、昨年出版されたこれだけは別。

私的昭和史 桑原甲子雄写真集 上巻 東京戦前篇

私的昭和史 桑原甲子雄写真集 下巻 満州紀行 東京戦後篇


桑原甲子雄の写真集は、これまで絶版のものも含めクロノジカルに業績を俯瞰するようなものがほとんどなかったけど、これは代表的作品がほぼ網羅された大部二冊。(話はそれるが、彼が街の写真屋として撮った写真を見ることができる一銭五厘たちの横丁 (岩波現代文庫)も、児玉 隆也による控えめながら力強いルポルタージュと併せて傑作)



桑原甲子雄と出会ってしまったのは、1993年世田谷美術館で開かれた桑原甲子雄✕荒木経惟の「ラヴ・ユー・トーキョー」展でのことで、もちろん出会ったと言っても御本人に会ったわけではなく、その頃好きだった荒木経惟目当てで行ったのに、なぜか桑原甲子雄の写真のほうに引き込まれてしまったわけで、上記下巻巻末のおもわず涙が溢れそうになるアラーキーによるクールな後書きで初めて知ったけど、晩年の桑原甲子雄は世田谷の馬事公苑近くに住んでいたようで、ちょうどその頃自分もすぐ隣の砧に住んでいて、馬事公苑あたりはよく彷徨いていたのでどこかですれ違っていたかもしれないと、いまさらながらにどきどきしたり、蛇足ついでに30年近く前東京に出てきたとき最初に住んだ豪徳寺の6畳1Kのアパートのすぐ裏がアラーキーの住むマンションで、商店街や駅を独特の姿勢で歩いていた姿をよく見かけたことを思い出したり・・・・・


で、何が言いたかったのかというと、そんな桑原甲子雄が世田谷美術館に帰ってくるんだなあ、と。

帰ってきた桑原甲子雄_f0194599_172121.jpg


桑原甲子雄の写真 トーキョー・スケッチ60年

2014年4月19日~ 6月8日 於:世田谷美術館
by mobydick67 | 2014-04-16 17:08 | その他
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