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だれもが書いて欲しかった沖縄

小学生の頃、左巻き?だった父親が、毎年朝日少年年鑑という冊子を買い与えてくれて、それを愛読していたせいもあって、沖縄=自衛隊基地、米軍基地、太平洋戦争激戦の地というステレオタイプな先入観が頭のなかでできあがって、子供心にも沖縄に対して何か後ろめたさのようなものがあった。また、10代後半から20代前半にかけて映画を浴びるように見ていた時期があり、その頃見た高嶺剛の「オキナワン・チルダイ」、「パラダイスビュー」、「ウンタマギルー」といった琉球サーガ映画は沖縄の別の顔も教えてくれた。その後20代後半、仕事で全国津々浦々回ったけど、なぜか沖縄だけは訪れる機会がなく、かといって観光旅行というのも好きではないし・・・


数年前にこの本を読んで、久々に再び沖縄に改めて興味、というよりは淡い憧憬のようなものが湧いてきた。

沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 佐野眞一

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花柳界、映画興行界、格闘技を暗黒街という線で結んでみせた章、「花街・映画・沖縄空手」で語られる、まるで任侠映画の脚本のような話は、たしかに沖縄のもうひとつのステレオタイプな物語かもしれないが、それでもやはり惹きつけられる。今回の沖縄出張でもこの本の取材の軌跡をなぞるように那覇やコザを歩いてみた。

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深作欣二 「博徒外人部隊」より


また藤田敏八が80年代にとった傑作青春映画 「海燕ジョーの奇跡」のモデルとなった人の生い立ち、その後たどった半生も、やはり月並みだが数奇な物語としか形容のしようがない(このあたりについては追加取材、加筆された集英社文庫版のほうが詳しい)。






「ちゅら島」、「基地の島」ではない沖縄、だけどそれらと決して切り離すことのできない沖縄がここでは書かれている。


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もう一度、できれば(暇な?)仕事で行きたいな、沖縄。
by mobydick67 | 2012-04-18 08:33 |
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