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やっぱり、てんでんバラバラがいい

小沢昭一がいいことを言っていたのでちょっと長いけど引用しておきます。

・・・・・私のような大年寄には、今回の被災地の光景はどうしても広島の焦土や戦後の焼け跡の風景とダブりますが、あの悲惨な状況から立ち上がって復興を遂げた日本なんですから、今回も必ず立ち直れると信じます。
 ただ、ちょっと違うところもあります。
 敗戦後は日本中が「茫然自失」の状態でした。昨日までの価値観が根底からひっくり返って、ただ「茫然」とするだけじゃなく、自分の存在の根拠さえ失った「自失」だったわけです。昨日まで「鬼畜米英」なんて言っていたのが、ガラリと変わってアメリカ礼賛の「民主主義」「自由」なんです。世の中、信じられなくなっちゃった。
 当時は「みんなで頑張ろう」なんてかけ声もなかった。みんな焼け跡で、今日を生きることで精いっぱい。てんでんバラバラに頑張るしかなかった。
 それまでの「一億一心」から、正反対の「てんでんバラバラ」。この「てんでん」とうのは個人一人ひとりの「自立」なんです。そのてんでんを深めよう、バラバラを深めようと、急に切り替わった。でも、バラバラの価値をどう深めていくか。それは大変でも、そのために戦争という大きな犠牲を払ったわけですからね。
 戦後はみんなが何もかも失って貧しかった。でもその代わり「自由」なるものを味わって、これにすがりつこうと思い、みんなが希望を持った。
 「今日一日の食うものもない貧乏暮らしだけど、今度こそ貧乏をバネに俺の好きな生き方をしよう」「大変だけろうけど、やってみようじゃないか」と、一人ひとりが独立心を持った。後に私の唱えた「貧主主義」が芽生えるのです。
 だから今回、「一致協力」とか「絆」なんてことが強調されるのが実はちょっと心配なんであります。いつかまた、あの忌まわしい「一億一心」への逆戻りの道になりはしないかと、そんあ気がするんですね。だから私たちの世代には「絆」ってのはちょっと怖い言葉なんです。耳にタコで、こりごりしてる。でも若い人たちは初めての新鮮な言葉なんでしょう。いつの間にか意味がすり替わらないように気をつけなくちゃいけませんよ。・・・・・・


2011年4月24日 朝日新聞朝刊より


「津波てんでんこ」という言葉があるそうですが、津波のあとも急に「トモダチ」とか言ったり、「日本経済のためにみんなで」とか言ったりするのは???。


てんでんバラバラでいいんじゃない?


これなんか、てんでんバラバラの極みですね・・・
幕末太陽傳
by mobydick67 | 2011-04-27 23:04 | 雑感
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