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100年前の山を歩いてみたい

百年前の山を旅する
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狩猟サバイバルを読んだときには、著者服部文祥はいったいどこまで突き進むのだろうと思ったが、ある意味この新刊は山を歩く人として原点に立ち返る試みかもしれない。昔の装束と装備で、昔の人が辿ったコースを歩いた魅力的な山行記。私には、田部重治と小暮理太郎のほぼ100年前の山行を辿った最初の2編「100年前の装備で山に入る―奥多摩・笹尾尾根縦走」「日本に沢登りが生まれた日―奥秩父・笛吹川東沢遡行」が特に興味深かった。
 少し想像力を働かせればわかることだが、奥多摩や奥秩父といった低山、中級山岳でも、テントやコンロ、合成繊維でできた高性能の雨具を持たないで、さらに地図やコンパスも持たないで山に入れば、たとえ経験豊富な登山家であろうと厳しい自然に苛め抜かれることになる。ただ、それを想像することと、実際にやってみるのとでは大きな隔たりがあり、あくまでも自分の体で経験してみようとするところが服部文祥の服部文祥たる所以。さらにその経験から次の新しいステップ(序文「過去とシンクロする未来」)を見つけ出すところが彼の真骨頂。
 以前も似たようなことを書いたけど、今や初めて行く山域でも事前にネットやガイドブックで簡単に写真を見ることができ、、地図を開けばご丁寧に標準コースタイムや水場の位置が書いてある時代。もしも道に迷ってもGPS(まだ持ってません・・・)で現在地を知ることができるし、どうにもならなくなったら携帯電話(SBでさっぱり山では使えませんが・・・)でヘリを呼ぶことも可能だ。最新鋭の便利な装備を持てば、いろんなリスクを減らすことができる。そんな機器や装備、服についつい惹きつけられて物欲をかきたてられてしまう自分もいる・・・・

難しいなあ。この本に書かれているような真似はとてもできそうにないし、真似をしてもしょうがないので、装備の先祖返りについては、極力シンプルな道具を使うという程度にとどめておいて、まずは古い地図やガイドブック、雑誌を見て奥秩父の今では人の歩かなくなった古い道を調べたり、歩いたりすることから始めてます。

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そういうわけで(?)、やっぱり服部文祥の本は面白いし、大いに刺激されるわけです。
by mobydick67 | 2010-12-20 22:29 |
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