先日の朝日連峰縦走は短い時間だったが、いまでもときどきその道、山、人を思い出してにやにやしている。
山行用に酒は泡盛、つまみはミミガーなどを用意したので、ならばと揃えて旅の友に薄い沖縄出身の詩人の本も用意した。
山之口貘詩文集 (講談社文芸文庫)
学生の頃、思潮社現代詩文庫から詩集が出されたとき購入したものがあるはずだが、本棚を探してもない。子供ができてからは、引っ越すたびに本を売って減らしているので、売ってしまったのだろう。上記の詩文集ならわりと簡単に手に入るので購入して、ザックの雨蓋に忍ばせておく。
往路の夜行列車の中で酒(このときはワイン)をちびちびやりながら読み始めると、久しぶりに読んでもやはり惹きつけられた。一つ引用。
「夜景」
あの浮浪者の寝様ときたら
まるで地球に抱きついて ゐるかのようだとおもつたら
僕の足首が痛み出した
みると、地球がぶらさがつてゐる
山に向かおうとしているときにこんな詩を読まされると、否が応でも山歩きが足にぶらさがった地球を引きずりながら歩く、反逆的な行為であることを意識させられる。 逆らって歩け!
結局、山泊まりは一泊でそれも避難小屋泊まりだけだったので、山ではこの本を開くことはなかったが、帰路の鈍行列車のなか、立ち寄った新潟のホテル、新潟駅前のドトールなどで読んだ。気に入ったところは何度も読み返した。
コーヒーもいいけど、これはやはり夜、酒を飲みながら読む本だ。それも家ではなく外で、家ではないどこかで読むのがいい。
次の山行にも持ち出そう。
それと、沖縄に少しはいいニュースがあったっていい。