先日、一足早く
「借りぐらしのアリエッティ」を見た。
宮崎駿アニメの特質としてよく言及される、「飛翔」というテーマは今回は控えめで、今回の主人公アリエッティの所作の特徴は「登攀」。小人の少女は蔦の這った壁をフリーでよじ登り、アイゼンのような前爪ついた仕込み靴と借り物の釣り針から作ったダブルアックスを巧みに使ってカーテンの垂直の壁を登攀し、糸にこれまたアンカー代わりの釣り針を付けたザイルを使って懸垂下降する。スタッフか監督、あるいは原作者が山登り好きなんだろうか?
もう一つ印象的だったのは効果音の使い方。主人公小人なので、視覚的なスケール感が映画の大きな魅了になっているが、それに加えて聴覚的なスケール感も人や動物が動く音、冷蔵庫のたてる音などの音圧が強調され、さらにその低音を強調した歪みがとても効果的で新鮮。
ちなみに今回宮崎駿は監督ではなく企画、脚本として参加。そのせいかいつもよりヒロイン少女のロリっぽさ、妙な色気は薄い印象。それ系の人にはいまひとつかも。
また、いろんな哲学的、社会学的な要素をぶち込んでごった煮にしてしまう手法も今回は控えめで、シンプルな物語には清々しい印象を覚えた。この米林宏昌という新人監督、なかなかやるなあ。
蛇足だが、内田裕也のEX妻、樹木希林が声優としてではなく女優として出演しています・・・・
なかなかいい映画だと思います。